當山のご本尊は阿彌陀如來です。時に宝暦8年(1758)に新彫し、開眼供養がなされました。その御丈が二丈四尺(約7.5メートル)あることから大佛様として多く信奉されてきた佛様であります。
『轉法輪寺縁起』によりますと、御本尊について以下のような記述がみられます。
大佛本尊阿彌陀如來
安置し奉る大本尊阿彌陀如來は、其の御丈御臺と共に二丈四尺端正莊嚴なる通衣の尊像にて在します、仰ぎ拜し奉るに、遙か御頭光の中央に當り幽かに高く照り燿くは、これなん辱けなくも、人皇百十五代櫻町天皇御追福の爲に御寄進遊ばされし御物の御鏡一面にして、又其の御首には同天皇御宸翰の御名號一軸、同女院に在ませし新中和門院御所並びに典侍即心院殿の御祈願文、各々一通づつを納め、更に其の御胎内には惠心僧都の作にして關通上人の御念持佛なりし阿彌陀如來一體、及び同上人御染筆の造立意願文を納め奉るものなり、其の願文に曰く
無窮結縁諸有衆生 見聞瞻視一稱一念
不捨順逆平等大悲 本誓不虚引接極樂
と、一度歩を茲に運んで寶前に跪かん人、誰かは渇仰の思ひに打たれざるや。
この記述によりますと、大佛阿弥陀如來の光背の中央には櫻町天皇御追福の為に納められた鏡が飾られており、さらにその胎内には
・櫻町天皇直筆の御名號
・新中和門院の御祈願文
・典侍即心院殿の御祈願文
・関通上人の御念持佛(阿彌陀如來)一體
・関通上人御染筆の造立意願文
等が納められているとされています。
関通上人が記されたとされる大仏本尊造立意願文は
無窮結縁諸有衆生 見聞瞻視一稱一念
不捨順逆平等大悲 本誓不虚引接極樂
(あらゆる縁の有る全ての人々が、ひとたびこの大佛様を仰ぎ見て南無阿彌陀佛と一称一念すれば、平等の大悲をもって、いかなるものも捨て給わずお救い下さいます。阿彌陀如來のお誓いは決して虚しからず、必ず極楽に導いてくださいます。)
と記された如く、この御本尊の前に座って尊顔を仰ぎ見た人々は何とも言えない不可思議な心持ちとなり、思わず南無阿彌陀佛と口にされます。